作者コメント
たぶん映画館の壁に貼られた極彩色のポスターのせいだろう。私は長い間、子供の頃に見た初代『ゴジラ』はカラー映画とばかり思い違いをしてきた。
同じように大人になって訪れる故郷は、色鮮やかに網膜に焼き付いている子供の頃とどこか違う。その若干寂しい違和感を癒やしてくれるのは、生まれ育ったあばら家と父が愛した昔ながらの地酒だ。

川柳作家・渡辺美輪氏 選評
「おいおい、押すなよ。こぼれるじゃないか」「ごめーん、お父さん。はい、私が注いであげる」「おお、すまんな」「お姉ちゃん、僕にもちょうだい」「はい、あんたはジュースね」。狭いながらも楽しいわが家。家族の笑顔とおいしいおつまみとお酒があれば、まるで桃源郷にいる気分です。

作者コメント
この度はどうもありがとうございます。父のことですが、父はとにかく家飲みが好きで、外では滅多に飲みません。家族と一緒に飲んだり食べたりするのがいいらしいです。そんな父の喜寿のお祝いは、もちろん家飲みの豪華版でしました。とても盛り上がり、忘れられない1日になりました。

川柳作家・渡辺美輪氏 選評
付き合いが悪いと言われても、父は毎晩仕事が終わるとまっすぐ家に帰ってきた。毎日せっせと働いて、こつこつと貯金し家のローンを返済した。退職しても家飲みを通してきた、そんな生真面目な父の喜寿を家族でささやかに祝う。父さん、これまでありがとう。そしてこれからもどうぞよろしく。

作者コメント
私は曾祖父のいる大家族で育ちました。何事につけ、飲む機会が多かったのですが、母は料理を作るのに追われ、お酌どころではありません。それぞれに手酌を楽しんでいたように覚えております。核家族の増えた今、遠い昔の光景を懐かしく思い返しています。

川柳作家・渡辺美輪氏 選評
祖父は日本酒をちびちびと飲み、父はウィスキーをロックでじっくり味わう。僕はビールをぐいぐいあおる。三世代、みんなそれぞれ好きなお酒を、それぞれのペースを保って飲む。手酌の良さってこれですよね。

作者コメント
卓袱台でちびりちびり熱燗の2〜3本も飲めば大言壮語していたことが、今からみれば恥ずかしくもあり、懐かしくもある。結局、夢は一歩も進まず、ちろちろ燃えていた志もいつしか熾火となり、今は火消壺のなか。川柳と出会い半世紀。たくさんの川柳を創り、素晴らしい川柳の仲間にも出会いました。これからも川柳の心を大切にして創作に励んでいきたいと思います。「灘五郷賞」ありがとうございました。

川柳作家・渡辺美輪氏 選評
このところ卓袱台が静かなブームだそうです。コンパクトで場所を取らず、狭いワンルームにもぴったり。卓袱台を人数分並べれば、それだけでもう立派な宴会。熱燗徳利も、まるで天下をとったような大きな顔をしています。

作者コメント
この「孫」とは、幼いころの私の事です。親戚からのお土産で、高級珍味をいただくことがあったのですが、その価値を知らない当時の私は、ぱくりと一口で食べてしまいました。母から「もっと味わって食べなさい」と怒られましたが、もう一口ぱくり。あきれる母とそれをなだめる祖父を、懐かしく思い出しながら句作しました。

株式会社伍魚福 代表取締役社長 山中勧 選評
3世代揃っての、楽しくにぎやかな「家飲み」シーンが眼に浮かびます。子供さんは「おいしい」と思ったら値段に関係なく食べてしまいますね。伍魚福社長の立場から言いますと、お子さん、お孫さんが高級珍味をパクパク食べても優しく見守ってあげていただきたいです(笑)。


今回、入賞を惜しくも逃した作品の中から、特におもしろい、
家飲みシーンが目に浮かぶような素晴らしい作品も合わせてご紹介します!