第1回

伍魚福 家飲み川柳 入賞作品発表

第1回 伍魚福家飲み川柳選者、川柳作家 八上桐子氏総評

1853句の作品を読みながら、家飲みの旨さにすっかりほろ酔いしました。部屋着に着替えたり、お化粧を落とすように、〝素のままの私〟に戻してくれるのが家飲みなのですね。皆さまの句から再発見いたしました。数々の家飲みシーンに心惹かれましたが、これぞ家飲み!という、家飲みならではの情景、想いを、鮮やかに切り取られた作品を賞にいただきました。受賞された皆さま、おめでとうございます。そして、惜しくも賞を逸した皆さま、ご応募ありがとうございました!…家飲みに乾杯!

  • 最優秀賞

    八月もぬる燗だった父だった

    多寿子(愛知県 女性)
    最優秀賞品
    作者コメント

    この句を作ったきっかけは、義母(故人)が自身の夫である義父のことを語ってくれた思い出話によるものです。私が結婚した時には、すでに義父は他界し、写真でしか見ることはできませんでした。私の夫はお酒に弱く、すぐに赤くなるのですが、義父はかなり強かったようです。明治生まれの義父は、飲むには四季を問わず、やはりお酒。もちろん自由に、ゆっくり飲めるようになったのは、戦後、食糧事情がよくなってからです。そして、よほど寒い冬以外はいつもぬる燗で、だいたい1日2合弱嗜んだそうです。義母いわく、義母の作る質素な料理に文句も言わず、ゆっくり、おだやかな夕餉を楽しんだそうです。その話をするときの、義母のなんだか懐かしそうで、はにかんだ顔を今でも思い出します。そして義母はいつも最後に「お父さんはあんなにお酒に強かったのに、おまえはなんでこんなに弱いかねぇ」と息子である夫を見て笑っていました。

    八上氏選評

    冷たいビールに喉を鳴らしながら、そういえばお父さんは年中ぬる燗だったな…と思い出す。離れて暮らす家族、今は亡き家族は、日々の食卓にふっと顔を出す。晩酌の面影は一等くつろいだ素顔なのがうれしい。

  • 優秀賞

    寝顔見て 一杯飲んで 寝顔見て

    桝井悦子(兵庫県 女性)
    優秀賞品
    作者コメント

    我が家ではすでに子育てが終わり、夫婦でゆっくりする自由な時間が増えました。所属するママさんバレーの友人のまだ小さいお子さんたちを見ると、バタバタと忙しい時間を過ごす中でも、可愛い寝顔を眺めてほっとしていた時間を思い出します。そのときの気持ちになって詠んだ句です。

    八上氏選評

    わかるなぁ~。帰宅するなりベビーベッドへ直行。一日の疲れも吹き飛ばす天使の寝顔。それからの一杯は、どんなにおいしいでしょう!。飲んでから、さらにもう一度寝顔を見に行くところに、愛情があふれ出ています。

  • 優秀賞

    家飲みは父の小言がオードブル

    本田しおん(東京都 女性)
    優秀賞品
    作者コメント

    はたちになり、お酒を飲むことができるようになって、父の晩酌にも付き合うと、父はお酒を飲みながら、私に小言を言うのが常となっています。私は私で、お酒でいい気分になる前に父の小言が浸みわたってしまいます。

    八上氏選評

    ちょっと口うるさいお父さんなんですね。また始まった…と、聞き流すお嬢さん。オードブルと、おつまみにされてしまったお父さんの小言ですが、食卓になくてはならないもののよう。くすっと笑ったあとに、じんとくる一句です。

  • 伍魚福賞

    飲み過ぎの罪を珍味にかぶせてる

    中村利之(大阪府 男性)
    伍魚福賞品
    作者コメント

    酒を愛するものは、とかく理由をつけたがる。忘年会、新年会、歓迎会、送別会等々。また、肴には旬がでた、珍味が手に入った。はたまた花や月まで口実にしてしまう。という私もその一人。「この珍味があまりに旨かったので」。飲みすぎの言い訳を妻は性懲りもなくと聞き流しているに違いない。

    山中勧伍魚福社長選評

    おいしい酒の肴があると、お酒がすすむ。そんな食卓のシーンが目に浮かびます。賞品の高級珍味セットでまた飲み過ぎてしまわれないか、ちょっと心配です(笑)。適量の飲酒で、健康で末永い「珍味」とのお付き合いをお願いします。

  • 佳作

    やっと来た一杯やるかと誘える日

    小池勝己(兵庫県 男性)
  • 佳作

    缶ビール半分こする共白髪

    つる姫(兵庫県 女性)
  • 佳作

    ふる里は母の笑顔で飲み過ぎる

    竹重満夫(山口県 男性)
  • 佳作

    今日も酔う柱の傷を眺めつつ

    門脇かずお(鳥取県 男性)
  • 佳作

    家飲みの窓辺に届く遠花火

    中川浩(兵庫県 男性)
  • 入選

    晩酌は5時とりあえず冷奴

    ねえね(岡山県 女性)
  • 入選

    乾きもん瓜立ててみる後齢組

    三津啓祐(兵庫県 男性)
  • 入選

    やってみたい家でおつまみバイキング

    西田明弘(兵庫県 男性)
  • 入選

    米切れど酒とつまみは絶えぬ家

    金丸淳一(兵庫県 男性)
  • 入選

    晩酌は規則正しく休み無く

    石川益光(兵庫県 男性)
  • 入選

    居酒屋の親父家飲みだけど店

    中山清(熊本県 男性)
  • 入選

    ごみ袋我が家とわかる缶と瓶

    雨後の月(兵庫県 男性)
  • 入選

    第3を財産と言い家で飲む

    大井田雄策(東京都 男性)
  • 入選

    テレビつけ阪神負けたかもう一杯

    小池諭(兵庫県 男性)
  • 入選

    アテ豪華何か企み有りそうな

    蜂谷成一(兵庫県 男性)
  • 入選

    「オイつまみ!」「鼻でもおつまみ!」仲の良さ

    よったんぼうや(東京都 男性)
  • 入選

    鼻歌で妻がビールを冷やす朝

    岡田弘子(神奈川県 女性)
  • 入選

    家飲みにいつもの妻が他人めく

    岩根彰子(京都府 女性)
  • 入選

    すぐ消えるビールの泡と妻の愚痴

    のんちゃん(神奈川県 男性)
  • 入選

    女房とコスプレ競い家で飲む

    ルパンにウル世(三重県 男性)
  • 入選

    二合まできっと共謀医師と妻

    たもつ(兵庫県 男性)
  • 入選

    妻と呑むこんな至福もあったのか

    鮎川郁夫(東京都 男性)
  • 入選

    家飲みのルールは妻に絡まない

    金子秀重(岐阜県 男性)
  • 入選

    家飲みでセンターつとめる妻の尻

    札場靖人(東京都 男性)
  • 入選

    盛り上げる必要のない家で飲む

    吉田誠一(神奈川県 男性)
  • 入選

    ジャージ着て家飲み最高干物女子

    福田美由紀(兵庫県 女性)
  • 入選

    家飲みで愚痴が笑いになる不思議

    オネリカ(兵庫県 女性)
  • 入選

    帰省地の地酒が集う社員寮

    石川憲政(兵庫県 男性)
  • 入選

    なでしこもピッチをあげる家(ホーム)では

    利光美和(大阪府 女性)
  • 入選

    しみじみと失くした恋を家で飲む

    渡辺智乱(兵庫県 男性)
  • 入選

    疲れたな早く帰って飲みたいな

    なな1970(大阪府 女性)
  • 入選

    家飲みをしようケイタイオフにして

    西村みなみ(岡山県 女性)
  • 入選

    家飲みが予期せぬ告白してしまう

    岸保宏(埼玉県 男性)
  • 入選

    乾杯を交わす相手は哺乳瓶

    長峯雄平(東京都 男性)
  • 入選

    七回忌父愛用の猪口を借る

    生田頼夫(兵庫県 男性)
  • 入選

    妻第2娘第3父ノンアル

    泡好き家族(兵庫県 男性)
  • 入選

    はいおちゃけ紅葉手・笑顔 家に福

    出口秀博(兵庫県 男性)
  • 入選

    親子酒つまみの好み同じだね

    石原學(兵庫県 男性)
  • 入選

    イカ天をネットで注文有頂天

    堀正樹(大阪府 男性)
  • 入選

    アッパレやここまでやるか伍魚福

    三津啓祐(兵庫県 男性)
  • 入選

    伍魚福の社長ようちで共に呑もう

    みぎわはな(兵庫県 女性)
  • 入選

    伍魚福で整いました店の味

    関原真一(兵庫県 男性)
  • 入選

    春夏秋冬酒の肴は伍魚福かな

    佐久間史信(兵庫県 男性)
  • 入選

    伍魚福に救われました不意の客

    かわちゃん(兵庫県 男性)
  • 入選

    家飲みはつまみ多くて俺セレブ?

    玉森毅(兵庫県 男性)
  • 入選

    おつまみのカタログアテにもう一杯

    片岡充栄(兵庫県 女性)
  • 入選

    居酒屋で飲んだつもりでつまみ買う

    末木紳也(神奈川県 男性)
  • 入選

    外でならいくらとつまみ評価する

    岡惺治(東京都 男性)
  • 入選

    外で飲む値段を払えば、家では一週間位飲める

    宮崎雅彦(兵庫県 男性)