第12回

伍魚福 家飲み川柳 入賞作品発表

渡辺美輪氏(第12回伍魚福家飲み川柳選者、川柳専門誌「現代川柳」前編集長)総評

 今回の投句数は4953句。郵送やFAX、メールのほかに、今年はSNSでも400句を超える投句があったそうです。異例の猛暑の続く中、みなさん頭をひねったことでしょう。どうもお疲れ様でした。
 カニカマだって第三のビールだって、気がついたら倍速で消えていく。ナイターを見たり、おしゃべりしたり、愚痴ったり。時にはほろ苦い晩酌もあるでしょう。誰かこたつでウトウトしだしたら、そろそろ家飲みもお開きです。
 新型コロナも5類となって、一応の落ち着きを見せてはいますが、感染力の強いウィルスのこと、まだまだ油断のならない日々が続きます。そんな中、川柳を考えるのもいい時間つぶしとなったのではないでしょうか。
 さあ、今夜もおいしい伍魚福のおつまみをお供に、どうぞ一杯。

  • 最優秀賞

    しあわせの 純度が違う 孫の酌

    中年やまめ(神奈川県 男性 76)
    作者コメント

    娘が5歳の孫娘と一緒にときどき遊びに来ます。晩酌時、たまに孫がハイどうぞと注いでくれますが、妻が注ぐ味とは一味違い、この上ない旨さと幸せを感じます。ぜいたくですが孫と盃を交わす夢を実現できたらなあとも思います。そんな気持ちで句を詠みました。

    渡辺氏選評

    コロナ禍で閉塞した日々が続いたけれど、ようやく緩和され、街にも人が戻ってきました。「おじいちゃん、どうぞ」「おお、ありがとう」 久しぶりにやってきた孫に注いでもらう酒は、どんな名酒よりもうまい。「しあわせの純度が違う」にじんわりときました。

  • 優秀賞

    家飲みのクライマックス語る過去

    汐海 岬(東京都 女性 51)
    作者コメント

    優秀賞に選んでくださり、ありがとうございます。心から驚き、そして嬉しい気持ちが溢れてきております。家飲みでは、はじめはグチや身の回りの話をしていても、徐々に素顔の自分の本音や、今まで語らなかった過去の話が口からあふれだしてゆき、乾杯を重ねて相手と本心から語り合える素敵な時間を創りあげてゆける。そんな状況を想像しつつ詠みました。

    渡辺氏選評

    家飲みといえば家族の語らい。「そういえばあの時、あんなことがあったなあ」「そうそう、実はあの時、お父さんったらねえ」「おい、その話はしない約束だろう」「えー?なになに?」 宴もクライマックスを迎え、わいわいがやがや、にぎやかに夜が更けていきます。

  • 優秀賞

    金婚の始発は妻のあのお酌

    黒飛義竹(広島県 男性 79)
    作者コメント

    一昨年、私たちは結婚50年(金婚)を迎えました。あまり飲めない私ですが、当時、社の忘年会で唯一お酌をしてくれたのが今の妻でした。飲めないと言いながら、多少下心もあったのか、少々無理をして飲んだ記憶があります。遠い過去の楽しい思い出です。

    渡辺氏選評

    今年で金婚式を迎える二人。「はい、あなた」「ああ」 注がれた酒は好みの辛口、ほどよいぬる燗。新婚当初は俺の好みがわからなくて、沸騰寸前の熱燗を出してきたっけ。あのお酌からもう五十年か。長かったような、あっという間のような。「始発」という言葉選びがいいですね。

  • 灘五郷賞

    コロナ禍の疎遠を埋めた灘の酒

    井上泰典(岡山県 男性 71)
    作者コメント

    コロナの為に大阪に住んでいる子供と孫に3年もの長い間会えていません。お正月に帰省する時は必ず、手土産として剣菱を持って帰っていました。おせち料理を肴に剣菱を酌み交わす事は出来ませんが、年末に送られてきた剣菱に心が和みました。脱マスクも広まり、やがては普通の生活が出来ると希望を持っていますが、いつのことやらと不安もあります。一本の酒が疎遠を消してくれる魔法の薬だと感じたことを17字で表現しました。

    渡辺氏選評

    コロナ禍で会いたい人と思うように会えない日々が続いた。遠く離れて暮らす家族や友人知人、大切な人と過ごせる時間はいつ戻って来るのか、本当に戻れるのかと不安になった。あの頃、互いを想いながら飲んだ灘の酒。久しぶりに会って飲むと、また格別の味がします。

  • 伍魚福賞

    伍魚福と お酒みたいな 良き夫婦

    どんぐり(北海道 男性 58)
    作者コメント

    お酒のおつまみと言って、最初に思い浮かぶのが伍魚福! 相性の良さを夫婦で例えるなら、おしどり夫婦並みでしょうか。お酒だけでもおつまみだけでも家飲みは成り立ちません。お互いに必要とされる存在であことが、美味しい晩酌・いい夫婦の条件だと思います。私たち夫婦もお酒と伍魚福のおつまみの様な間柄でいつまでもいられたらこの上ない幸せです。

    山中勧伍魚福社長選評

    お酒にぴったり合う、ということを目指して伍魚福は商品をつくっています。伍魚福とお酒のような相性の良いおふたりでお酒を楽しんでいただきたいです。ちなみに「いい夫婦の日」(11月22日)の次の日は「いいつまみの日」(11月23日)です。

  • 佳作

    家飲みは蟹も麦酒もジェネリック

    夏梅堂(兵庫県 男性 66)
  • 佳作

    家のみをせよとコロナの長いこと

    夕凪子(大阪府 女性 76)
  • 佳作

    倍速で酒が消えてくいいつまみ

    つべる(神奈川県 女性 31)
  • 佳作

    こんな日もあるさ晩酌ほろ苦し

    梶政幸(千葉県 男性 58)
  • 佳作

    寝る人もぼちぼち出だすこたつ飲み

    徳道かづみ(東京都 女性 50)
  • 入選

    祝杯だ! ARE(?)にならずに 済んだARE

    縦縞(兵庫県 男性 53)
  • 入選

    缶詰を 少し温め 湯呑み酒

    保元広光(福岡県 男性 64)
  • 入選

    一鉢に 成った実りと 合わせ酒

    助野公彦(和歌山県 男性 67)
  • 入選

    家飲みに拍車をかける物価高

    浜栗あさり(福井県 男性 59)
  • 入選

    一言が 多い家内と 足りぬアテ

    東明彦(大阪府 男性 64)
  • 入選

    誕生日 父の日母の日 皆お酒

    ルーガ(長崎県 女性 48)
  • 入選

    ちょっと待て 取り寄せたのは オレだから

    タコさん(東京都 女性 59)
  • 入選

    のんびりとただのんびりと酒を呑む

    宮澤義和(埼玉県 男性 79)
  • 入選

    一人酒 酒とつまみは 二人前

  • 入選

    三合目富士山ならば始発点

    園田浩(熊本県 男性 70)
  • 入選

    部下招き威張った父も一人酒

    宇野弘子(滋賀県 女性 59)
  • 入選

    「肴はこれ」賞味期限が物申す

    松下弘美(埼玉県 男性 61)
  • 入選

    お店では 幾らになるかと 算段し

    アリさん(沖縄県 男性 41)
  • 入選

    お湯割りに遺影が浮かぶ今宵また

    岡本悠(大阪府 男性 71)
  • 入選

    物価高 きゅうり一本 酒のアテ

    やすよ(兵庫県 女性 40)
  • 入選

    深酒の 責負わされる 珍味かな

    散談論泡(滋賀県 男性 76)
  • 入選

    肝臓に 働いてもらう 夏休み

    招き猫の子(東京都 女性 33)
  • 入選

    すぐ赤くなるから母はリトマスさん

    日本酒党(新潟県 男性 90)
  • 入選

    かごの中 ギョーザとビール 踊ってる

    井口泰子(神奈川県 女性 72)
  • 入選

    伍魚福の つまみは宴の 導火線

    あら松(東京都 男性 75)
  • 入選

    ビール瓶 開ける方法 知らぬ孫

    横尾伸子(大阪府 女性 53)
  • 入選

    息子から 届いた酒は 着払い

    みらいむ(東京都 女性 63)
  • 入選

    酒二合 あれば詩人に なる私

    湯浅柏枝(島根県 女性 89)
  • 入選

    ママ居れど用意片付け皆セルフ

    小林興一郎(兵庫県 男性 61)
  • 入選

    週末は 開店パパの おつまみバー

    ともみ(京都府 女性 12)
  • 入選

    風鈴と 孫の九九聞き もう一杯

    中川栄美(愛知県 女性 53)
  • 入選

    飲んだ日は上げ膳据え膳俺任せ

    西本卓司(東京都 男性 31)
  • 入選

    酒進む つまみにあげる のーめる賞

    三宅佑奈(岐阜県 女性 28)
  • 入選

    孫の酌 こぼさぬように 椀で受け

    安藤龍興(熊本県 男性 88)
  • 入選

    家飲みの メニューで 賞味期限知る

    田崎武久(愛知県 男性 56)
  • 入選

    洗い物する約束であと一本

    ほっと一息(兵庫県 男性 66)
  • 入選

    七輪の 煙る目刺しに ネコ視線

    がんば老(千葉県 男性 72)
  • 入選

    独酌で天下国家を斬りまくり

    富谷英雄(岩手県 男性 73)
  • 入選

    水割は持続可能と水たされ

    藤田留実子(秋田県 女性 44)
  • 入選

    おつまみをちょっと摘んでいく5歳

    つくしのこ(宮城県 女性 42)
  • 入選

    今日だけと 昨日も言って 今日も飲む

    のんのん(静岡県 女性 14)
  • 入選

    買いました 家飲み専用 冷蔵庫

    千葉光太郎(宮城県 男性 69)
  • 入選

    オレの肴(アテ)  妻は並べる 期限切れ

    ちゃりんど(福岡県 男性 73)
  • 入選

    ぼちぼちが早やじゃんじゃんとピッチあげ

    清岡千恵子(大阪府 女性 76)
  • 入選

    一人飲み しゃべる相手は GPT

    うにどん(東京都 男性 55)
  • 入選

    家飲みも タバコは外で 吸わされて

    くずれ荘管理人(大阪府 男性 56)
  • 入選

    宅飲みもグローバルなりオンライン

    井手春華(愛媛県 女性 34)
  • 入選

    家飲みの皿洗いして酔い覚める

    伊藤晴夫(千葉県 男性 84)
  • 入選

    物価高 酒もつまみも 二軍落ち

    ひとりねこ(大阪府 女性 57)
  • 入選

    ペアグラス割らずに飲んだ五十年

    カンちゃん(愛媛県 男性 72)
  • 入選

    一升瓶 誰か飲んだか 私かな

    竹下直美(兵庫県 女性 50)
  • 入選

    盛っている 酒とつまみと 武勇伝

    あおちゃん(東京都 女性 50)
  • 入選

    恋三つ串刺しにして呑むお酒

    千足 千(兵庫県 女性 73)
  • 入選

    持ち寄って つまみサミット 爺セブン

    コタラフ(茨城県 男性 42)
  • 入選

    家飲みの 肴欲しくて 納税し

    寧茶(奈良県 男性 62)
  • 入選

    入院の友に詫びつつコップ酒

    おきみ(大阪府 女性 84)
  • 入選

    初孫の 「あのね」つまみに 酒を飲む

    黄くま(大分県 女性 35)
  • 入選

    SIRIに聞く 「今日のお酒に 合う肴」

    会田卓也(三重県 男性 35)
  • 入選

    異次元の 少酒化対策 家じゃムリ

    だいちゃんZ!(大阪府 男性 48)
  • 入選

    家飲みで持続可能な夫婦仲

    岸野由夏里(京都府 女性 47)
  • 入選

    伍魚福を 教えた友を 客に呼び

    松井朱美(千葉県 女性 65)
  • 入選

    行かずとも ご当地酒で 旅気分

    まる(北海道 女性 53)
  • 入選

    おつまみを残さずうまくSDGs

    未央柳(埼玉 男性 79)
  • 入選

    一応は酔ったふりして油断させ

    多賀二郎(愛知県 男性 81)
  • 入選

    KOBEというスパイスきいた珍味食む

    稲田紀子(東京 女性 57)