第13回
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最優秀賞
AIよ 家飲みの幸 知ってるか
難波安津子(岡山県 女性 56)作者コメントわが家では毎日、夫が仕事から帰ってくると、いそいそとつまみを出して2人で飲んでいます。一日の出来事を話しながら、おいしいつまみを食べつつ、ゆっくりと飲む時間が、私にとっては幸せです。そんな時、AIがどれほど優れていようと、この家飲みの幸は分からないだろうなあ…と。人として生まれてきて、家飲みの良さをしみじみと思いながら生きています。
渡辺氏選評将棋の藤井七冠も勝負前には参考にしているという人工知能・AI。絵を描いたり文章を書いたり、創作の分野でも活躍して、いずれ人間を凌駕する作品も登場するかも。しかし、さすがのAIも家で飲むこの幸せはちょっとわからないでしょう。それともいつかAIも、伍魚福のおつまみの味がわかるようになるのかしら?
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優秀賞
思い出を上映します家ビール
徳道かづみ(東京都 女性 51)作者コメント家でビールを飲んでいるうちに、「あんなこともあった、こんなこともあった」と、脳裏に思い浮かべることを句にしてみました。自分の記憶の上映ですから、きっと少しずつ美化されていったりするのでしょう。また、家族でわいわいと、家庭で撮影したホームビデオを上映しつつ飲んでも楽しそうです。
渡辺氏選評家族や友人、気の置けない仲間たちと家で飲むと、すぐに始まる思い出話。「ほら、覚えてる? あの時こんなことあったよね」「え? そうだっけ?」「覚えてないの? あの時は大変だったんだから~」 ビール片手にワイワイ語り合う楽しさは、かけがえのないものです。思い出を「上映」という表現がいいですね。
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優秀賞
妻の酌 成分表に 愛とあり
博之介(兵庫県 男性 52)作者コメント先日、妻に晩酌を付き合ってもらった時、「ねえ、今日のお酒は特別美味しいでしょ?」と、酒瓶の成分表を見せてきました。別にいつもと変わらいないじゃん、と思いながら、その成分表を見ると、妻の字で「米」を消して「愛」と書いてあるじゃないですか。「ねぇ?」と妻。自分は「何、馬鹿なこと書いてるんだよ~笑」と二人で大爆笑。とても良いひとときでした。
渡辺氏選評「明日は休みだし、もう一杯欲しいなあ」「ダメよ。もう十分飲んだでしょう。これでおしまい」 そう言いつつ、妻は立ち上がる。「ちょっとぐらいいいだろうに…」 まあ、そりゃね。俺の体を思ってのことだと、わかってはいるけれど…。お酒は適量が一番です。成分表の「愛」を、存分に味わってくださいな。
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灘五郷賞
一合の 晩酌夢を 太らせる
けろね(大阪府 男性 78)作者コメント下戸の私の晩酌は一合で満ち足りほろ酔い気分で、例えば明日は家庭菜園に何を植えようか、孫が来たらキャッチボールや将棋の相手をしようかなど、色々と楽しい思いを巡らせ心を豊かにしてくれます。この至福のひととき一合の酒は私のこの上ない心のサプリです。
渡辺氏選評大きくなったら何になる? 作家、博士、宇宙飛行士にパイロット。子供の頃は叶いそうもないような大きな夢をみたものだ。酒を吞んでいると、だんだん気が大きくなってくる。とうに忘れたはずの幼いころの夢が、胸の奥からムクムクと頭をもたげてくる。一度は無理だとあきらめたけれど、今ならまだ間に合うかもしれない。よし、ダメでもともとだ。もう一度、挑戦だけでもしてみよう。「夢を太らせる」という表現がいいですね。
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伍魚福賞
揚げ銀杏 指の塩舐め もう一杯
Midori(奈良県 女性 45)作者コメントおつまみを食べている時、おつまみが余ればお酒を足し、お酒が余ればおつまみを開封していると、飲み過ぎてしまいます。健康や予算のことも考え、「おつまみは1袋、お酒は1本まで」というマイルールを課しています。お酒は飲みたいけれど、おつまみがもうない、というときは、指先をペロリ。お酒を足す言い訳ができるのです。
山中勧伍魚福社長選評伍魚福の「一杯の珍極」シリーズ一番人気の「揚げ塩ぎんなん」。2024年3月から「淡路の藻塩」使用に改良しています。「藻塩」は海藻と一緒に炊き上げてあるので、旨味があり、塩だけでもおいしいんです。というメーカーの思いが伝わったのか、そんな姿が想像できる、とてもうれしくて楽しい作品です。
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佳作
ごめんねと 言えず帰りに ワイン買う
佐藤和子(神奈川県 女性 55) -
佳作
こっそりと 追加の酒を 冷やす母
カイト(愛知県 女性 49) -
佳作
年金の日には珍味を大人買い
ほり・たく(千葉県 男性 51) -
佳作
介護する母の寝息で割る梅酒
井内雅仁(大阪府 男性 73) -
佳作
いいことがあり家飲みの明るかり
月川たるほ(兵庫県 女性 59) -
入選
AIがお酒のあては伍魚福
よっちゃん(兵庫県 男性 84) -
入選
今のうち つまみ買い増す イカ不漁
うにどん(東京都 男性 56) -
入選
家飲みで原価を知れば店遠く
しらふ(千葉県 男性 53) -
入選
アテ切らし 自販へ走る 息切らし
やすよ(兵庫県 女性 41) -
入選
本当はちょっとうれしい妻の留守
カンちゃん(愛媛県 男性 73) -
入選
両手から片手になった妻の酌
未央柳(埼玉県 男性 80) -
入選
健脚を肴探しで計る日々
石田正流(大阪府 男性 68) -
入選
新NISA 運用不発 家で飲む
さんごしょう(愛媛県 男性 67) -
入選
晩酌に 四時は早いか 大相撲
中塚一郎(東京都 男性 74) -
入選
酒、珍味 補正予算の 物価高
中村登志子(大阪府 女性 75) -
入選
家飲みの テレビはパリの 桟敷席
江戸川散歩(千葉県 男性 72) -
入選
自由課題爺のつまみのベスト10
極楽とんぼ(青森県 男性 67) -
入選
家飲みで 酔えば家内も かぐや姫
減点パパ(大阪府 男性 65) -
入選
荒れた手の 妻のお酌に ついほろり
紫雲山(大阪府 男性 74) -
入選
珍客に 珍味を出せば 長居され
くずれ荘管理人(大阪府 男性 57) -
入選
無課金で飲める家飲みつまみ付き
めめ(東京都 女性 34) -
入選
誰一人 取り残さない 飲み家族
K・U(福島県 男性 66) -
入選
家飲みで熟成させた夫婦仲
汐海 岬(東京都 女性 52) -
入選
飲み比べ食べ比べたり夜楽し
宇多村順一(山口県 男性 75) -
入選
枝豆の皮積み上げるエベレスト
ぴーす(東京都 女性 68) -
入選
とっくりを転しながら座談会
澤田靖子(大阪府 女性 72) -
入選
仏壇のお供え物もおつまみに
石部漂吉(東京都 男性 73) -
入選
定額の減税分は酒に消え
ばばりん(大分県 女性 65) -
入選
家飲みにホッとオーバーツーリズム
つべる(神奈川県 女性 31) -
入選
絵日記に 家飲みのパパ 描く息子
みなまる(山梨県 男性 56) -
入選
ぎんなんのためにノンアル用意する
ゆみこ(大阪府 女性 62) -
入選
伍魚福か これは2合じゃ 済まないぞ
カジ(東京都 男性 77) -
入選
終活を 済ませのんびり 二人酒
やんちゃん(福島県 女性 63) -
入選
よくハマる 「伍魚福沼」が ウチにある
お酢(福島県 男性 61) -
入選
「#家飲み」の つまみも顔も 加工品
アリトルビット鱧(岩手県 女性 45) -
入選
家のみや 寿司半額に 立ちつづけ
繁田政春(東京都 男性 72) -
入選
同業の 息子のグチに 進む酒
老人生(神奈川県 男性 67) -
入選
末期の酒あの世へ夫は千鳥足
谷口ミサヲ(兵庫県 女性 81) -
入選
一人酒 ふすまの隙間 5才の目
はちみつみかん(大阪府 女性 57) -
入選
珍味界 さきいか天が BIGボス
すごい顔(神奈川県 男性 28) -
入選
伍魚福を 非常食へと 推す旦那
中山清(熊本県 男性 51) -
入選
持ち寄りで センスが問われ 気合い入れ
彩来 美雨(東京都 女性 39) -
入選
酔っぱらい 虎に翼で 飛ぶ記憶
しんのすけ(埼玉県 男性 78) -
入選
家族寝て妻の家飲み十五分
大和ゆか(奈良県 女性 ―) -
入選
「ぎょぎょふふをだすわ」と口癖まねる孫
かめ太郎(神奈川県 女性 33)
渡辺美輪氏(第13回伍魚福家飲み川柳選者、川柳専門誌「現代川柳」前編集長)総評
今回の総投句数は3288点と、昨年度よりやや少なめでしたが、良い作品が多く、入選を逃した中にも佳句がたくさんありました。また、封書やハガキ、FAXよりもメールやTwitter(X)、WEBでの投句が全体の6割近くを占めていました。郵便料金も値上がりすることですし、これもまた時代の流れですね。
安いワインもビールも、家でじっくり飲めば極上の味。家族や友人とにぎやかに飲むもよし、大切な人とゆっくり飲むもよし。盃片手に仲間と語らうもよし、一人静かに味わうもよし。今夜も伍魚福のおいしいおつまみをお供に、もう一杯。