第6回

伍魚福 家飲み川柳 入賞作品発表

第6回 伍魚福家飲み川柳選者 渡辺美輪氏(川柳専門誌「現代川柳」編集長)総評

今年は全国四十七都道府県から3749句の投句が寄せられました。皆様、たくさんのご投稿ありがとうございます。ビール、日本酒、ワイン、焼酎、カクテルにジュース。沢山飲んでも家計に優しいのが家飲み。何となく手持ち無沙汰なお婿さんに、何やら魂胆のありそうな娘さんのお酌。何より怖いのが、「尋問のように」注いでくる妻。どの句からも、光景が鮮やかに浮かんできますね。ともあれ、家族の笑顔に囲まれていただくお酒はやっぱり最高です。今夜も伍魚福のおつまみで、おいしいお酒を召し上がれ。

  • 最優秀賞

    持ち寄った つまみにはしゃぐ 発泡酒

    篠田東星(栃木県 男性 77)
    最優秀賞品
    作者コメント

    夕方になるとワイワイガヤガヤ。それぞれ自慢のつまみをぶら下げて悪友どもが集まって来る。「これは旨いぞ」とパッケージ入りの珍味や、釣ってきた魚、菜園の無農薬などなど、ひとしきり自慢話を聞かされる。悪友どもは我が物顔に冷蔵庫を開けて好きな飲物を取り出す。こんなことは承知の上で、ビールもどきの発泡酒をたんまり入れておくのである。こんな一時が楽しい。

    渡辺氏選評

    好みのおつまみを持ち寄って、仲間と家で飲む。夕方セールで半額になったお惣菜も、安い発泡酒も、気の置けない友人たちと一緒なら極上の味。今日はちょっと奮発して、伍魚福のおつまみもいただきましょう。発泡酒が「はしゃぐ」という表現がいいですね。さあ、今夜もみんなで楽しくカンパーイ!

  • 優秀賞

    休肝日 終えて冷酒が 腹に沁み

    江戸川散歩(千葉県 男性 65)
    優秀賞品
    作者コメント

    飲み過ぎに気をつけるため、不定期にとっている休肝日。検診前など、休肝日が数日続くとさすがに酒が恋しい。休肝日明けのコップ酒は至福のひと時。冷酒が腹に沁み、五臓六腑が踊り出す。

    渡辺氏選評

    今日は週に一度の休肝日。こんな日に限ってトラブル続きで、パソコンは調子悪いし、作業が遅れて上司には叱られるし。おまけに帰りの電車は人身事故で遅れてる。…ああ、家に帰ってキュッと一杯飲みたいなあ…。いやいや、明日までガマンガマン。休肝日明けの冷酒はきっと、極上の味がするにちがいありません。

  • 優秀賞

    おつまみの 好みも同じ 夫婦酒

    中城公彦(兵庫県 男性 77)
    優秀賞品
    作者コメント

    旅先でいつの間にかぐい呑みを買う癖がついて、我が家には溜まっている。夕方になると旅の思い出を探し、見つけて妻と二人の前に好みの盃を置く。甘いものが苦手な二人は、つまみは辛口で趣味が合う。いつも日本酒を上燗で頂く。今日は「真田丸」の六文銭のぐい呑み、妻は萩焼きの盃。旅先のエピソードを語り合い、お酒がすすむ。そこそこで最後に乾杯。あとは妻の手料理でゆっくり食事ということになる。

    渡辺氏選評

    昔は妻の料理の味付けが気に入らなかった。塩分控えめ、少し薄めの優しい味が物足りなくて、「味がない」「まずい」と文句ばかり言っていた。いつの間にかその味にも馴れて、今や妻の味が一番。今夜も夫婦円満、お二人の好みのおつまみと一緒にご夫婦でおいしいお酒をどうぞ。

  • 伍魚福賞

    仕送りに 酒と伍魚福 入れる母

    中山清(熊本県 男性 44)
    伍魚福賞品
    作者コメント

    この度は自分の作品を選んでいただきありがとうございます。自分自身は生まれてからずっと故郷を離れたことが無いので、仕送りを貰ったことがありません。そのため、仕送りというものに対して秘かに憧れがありましたが、もらったら何が嬉しいかなと考えたときにこの句が浮かびました。句では母が送ったとしていますが、きっと父のほうもあれこれ口出しして、結局二人で選び、照れた父は母に送らせて自分は関係ないふり。そんな自分がもしよそで暮らしてたら、あったかもしれない仕送りを想像しつつも、今夜は両親と祝杯をあげたいと思います。

    山中勧伍魚福社長選評

    遠くに住んでいる息子さんを思い、お酒とおつまみを送るお母さん。下宿に友達が集まり、賑やかな「宅飲み」になりそうです。社会人になると、お酒を外で飲む機会も増えますので、「下宿飲み」で練習しておくのも良さそうです。その分お父さんへの割り当てが減らないことを祈ります(笑)。

  • 灘五郷賞

    妻の留守 温めの燗で 聴く艶歌

    香西富士夫(北海道 男性 79)
    灘五郷賞品
    作者コメント

    演歌嫌いの妻の外出。好きな北原ミレイの「石狩挽歌」を聴きながらの独酌はこの世の至福である。時は秋。厳しい北海道の雪が来る前の愁いに満ちた一刻に、酒と歌は胃の腑を抉る。冬は熱燗・夏は冷・春と秋は温めの燗が好い。余情たっぷりの酒はやはり秋だ。このほど私の駄句に賞を授けて下さったこと、望外の悦びです。あとは賞品が楽しみ。

    渡辺氏選評

    仕事から帰ると、台所に妻のメモ。「今夜は友達と女子会で遅くなります。おでん作ったからレンジで温めて食べてね」…やれやれ、今夜は一人か。テレビを点けると懐メロ番組。そうだな、懐かしい歌でも聞きながら温めの燗で一人飲むのも悪くない。しみじみと昭和の味がする句です。

  • 佳作

    婿が来て 手持ち無沙汰を 酒が埋め

    よしぼう(東京都 男性 76)
  • 佳作

    家計簿も 笑顔家飲み 週二日

    江口信子(葉千葉 女性 88)
  • 佳作

    お酌する 娘にふっと 身構える

    たかさま(兵庫県 男性 61)
  • 佳作

    尋問のように 座って 妻の酌

    かきくけ子(岐阜県 男性 66)
  • 佳作

    親がいて 子がいて 晩酌の至福

    高東八千代(広島県 女性 72)
  • 入選

    監督の 代打異議あり 独り酒

    長井俊昭(兵庫県 男性 75)
  • 入選

    ゴミ出しで グレード違う 瓶がある

    鈴田浩二(神奈川県 男性 74)
  • 入選

    証人は 昼から酔って 記憶にない

    三円才円(福岡県 男性 64)
  • 入選

    持ち寄りの つまみドキドキ 品評会

    日輪草(埼玉県 女性 53)
  • 入選

    子を寝かせ 主人と一杯 家デート

    あゆみん(大阪府 女性 33)
  • 入選

    下戸の家 高級銘酒も 料理酒

    ゆみこ(大阪府 女性 66)
  • 入選

    伍魚福の ツマミになれた イカ名誉

    みぎわはな(兵庫県 女性 -)
  • 入選

    旧友と 酌む燗酒や 雪の午后

    鳥井宏悦(兵庫県 男性 75)
  • 入選

    家飲みや 片づけなけりゃ パーフェクト

    たみえ(長野県 女性 58)
  • 入選

    飲んでいる テーブル拭かれ 皿消える

    太田恭子(愛知県 女性 62)
  • 入選

    妻よたまには「お酌しましょう」言いなさい

    松本壽賀子(広島県 女性 75)
  • 入選

    鮭とばと 酒を手にして 叫ぶ父

    清水陽子(北海道 女性 37)
  • 入選

    残したら リメイクされて 突き出しに

    しげき(大阪府 男性 76)
  • 入選

    冷や酒も そろそろぬる燗 虫の声

    清詞薫(三重県 男性 65)
  • 入選

    元上司 妻にお酌の 癖抜けぬ

    蛯原裕介(茨城県 男性 35)
  • 入選

    笑うのも 泣くのも幸せ 気付く酒

    田中彩乃(岩手県 女性 22)
  • 入選

    里帰り 未だプリンの 容器飲み

    くずれ荘の管理人(大阪府 男性 50)
  • 入選

    違うだろ~ 妻が潰れて 酔い冷める

    こうちゃん(北海道 男性 56)
  • 入選

    妻潰れ 介抱したのに このハゲ〜

    マッサン(北海道 女性 47)
  • 入選

    一線を 超えておかわり 三杯目

    佐藤千恵子(愛知県 女性 63)
  • 入選

    隠してた つまみの場所を ばらす犬

    さごじょう(愛知県 男性 34)
  • 入選

    猛暑には 冷えたお酒と 冷めた妻

    嶋田眞(奈良県 男性 70)
  • 入選

    酔った妻 直虎よりも 大虎に

    K・U(福島県 男性 59)
  • 入選

    家で飲む なにはなくとも 笑顔あり

    たこばぁばぁ(香川県 女性 67)
  • 入選

    孫台風 去って虫の音 夫婦酒

    津倉てつや(兵庫県 男性 73)
  • 入選

    入らぬか  金氏世界の  酒の輪に

    紫苑(千葉県 男性 72)
  • 入選

    熱燗に 溶かし飲み込む 妻の愚痴

    水埜信行(神奈川県 男性 77)
  • 入選

    うちの父 魚嫌いの 肴好き

    ペースかめ(大阪府 男性 33)
  • 入選

    家のみに 影を落とした 酒税法

    ぷーちゃん(大阪府 女性 41)
  • 入選

    甲子園 ビールにイカ天 両手持ち

    ミュウミュウ(東京都 女性 33)
  • 入選

    ごみ袋 サンタのように あき缶だ

    だんだん(東京都 男性 47)
  • 入選

    家計簿に 別途設ける 伍魚福費

    ゆらゆらら(兵庫県 女性 40)
  • 入選

    晩酌の 量をしつこく 医者に聞く

    ミントちゃん(広島県 男性 70)
  • 入選

    待っててね 一緒に飲める日 あと少し

    あき(宮城県 女性 19)
  • 入選

    塩辛の 買い置きをして 妻家出

    三郎(千葉県 男性 67)
  • 入選

    忖度の いらぬ我が家で 手酌酒

    うしボン(愛知県 男性 55)
  • 入選

    三本目 阻止する女 三世代

    ルーク(東京都 女性 55)
  • 入選

    替えて飲む 防災袋の カップ酒

    ナンサン(神奈川県 男性 76)
  • 入選

    伍魚福と 家族三代 皆笑顔

    井上登美(兵庫県 女性 77)
  • 入選

    あと一本 言う前に妻 めしを出し

    笑爺(神奈川県 男性 71)
  • 入選

    夏が過ぎ 家で楽しむ ひやおろし

    福元雅(鹿児島県 男性 65)
  • 入選

    杯重ね 珍味うんちく 花が咲く

    藤井尹雄(兵庫県 男性 73)
  • 入選

    ニコニコと 夫の酌の 下心

    菊地真千子(兵庫県 女性 59)
  • 入選

    避難用 リュックつまみと カップ酒

    ハルル(東京都 女性 64)
  • 入選

    酌をする 孫に枝豆 みな食われ

    ムク坊(神奈川県 男性 79)
  • 入選

    老い二人 おかわりなしの コップ酒

    湊利隆(兵庫県 男性 75)
  • 入選

    アナログの 爺も肴は ネット買い

    マッチ坊(東京都 男性 72)
  • 入選

    数値より 認知の劣化 自覚ゼロ

    ボヘミアンtaiちゃん(大阪府 男性 75)
  • 入選

    新婚の 嫁のつまみも 三か月

    江連敏子(栃木県 女性 52)
  • 入選

    相槌の 間を取りつつの 酒の味

    伊藤美千代(秋田県 女性 71)
  • 入選

    コップ酒 あなた愚痴って いいですか

    青木敏子(京都府 女性 73)
  • 入選

    ノンアルの 孫がマネする 酔ったふり

    米満けい(福岡県 男性 65)
  • 入選

    終活を 終えて傘寿の 手酌酒

    河原公輔(福岡県 男性 83)
  • 入選

    ミシュランが 見落とした場所 ここに在り

    お酢(福島県 男性 54)
  • 入選

    還暦も 古希の祝いも 妻の酌

    澄海(愛知県 男性 49)
  • 入選

    我が夫婦 忖度し合い 注ぐお酒

    竹内照美(広島県 女性 61)
  • 入選

    いいね!した 写真のおつまみ 目の前に

    だいちゃんZ!(大阪府 男性 42)
  • 入選

    家飲みで ままごとデビューした 娘

    ばいなりい(愛知県 男性 58)
  • 入選

    子の作文 毎晩飲酒と 書かれてる

    角森玲子(島根県 女性 49)
  • 入選

    家飲みで 妻と語らう 五十年

    風流男(福岡県 男性 64)