第6回
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最優秀賞
持ち寄った つまみにはしゃぐ 発泡酒
篠田東星(栃木県 男性 77)作者コメント夕方になるとワイワイガヤガヤ。それぞれ自慢のつまみをぶら下げて悪友どもが集まって来る。「これは旨いぞ」とパッケージ入りの珍味や、釣ってきた魚、菜園の無農薬などなど、ひとしきり自慢話を聞かされる。悪友どもは我が物顔に冷蔵庫を開けて好きな飲物を取り出す。こんなことは承知の上で、ビールもどきの発泡酒をたんまり入れておくのである。こんな一時が楽しい。
渡辺氏選評好みのおつまみを持ち寄って、仲間と家で飲む。夕方セールで半額になったお惣菜も、安い発泡酒も、気の置けない友人たちと一緒なら極上の味。今日はちょっと奮発して、伍魚福のおつまみもいただきましょう。発泡酒が「はしゃぐ」という表現がいいですね。さあ、今夜もみんなで楽しくカンパーイ!
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優秀賞
休肝日 終えて冷酒が 腹に沁み
江戸川散歩(千葉県 男性 65)作者コメント飲み過ぎに気をつけるため、不定期にとっている休肝日。検診前など、休肝日が数日続くとさすがに酒が恋しい。休肝日明けのコップ酒は至福のひと時。冷酒が腹に沁み、五臓六腑が踊り出す。
渡辺氏選評今日は週に一度の休肝日。こんな日に限ってトラブル続きで、パソコンは調子悪いし、作業が遅れて上司には叱られるし。おまけに帰りの電車は人身事故で遅れてる。…ああ、家に帰ってキュッと一杯飲みたいなあ…。いやいや、明日までガマンガマン。休肝日明けの冷酒はきっと、極上の味がするにちがいありません。
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優秀賞
おつまみの 好みも同じ 夫婦酒
中城公彦(兵庫県 男性 77)作者コメント旅先でいつの間にかぐい呑みを買う癖がついて、我が家には溜まっている。夕方になると旅の思い出を探し、見つけて妻と二人の前に好みの盃を置く。甘いものが苦手な二人は、つまみは辛口で趣味が合う。いつも日本酒を上燗で頂く。今日は「真田丸」の六文銭のぐい呑み、妻は萩焼きの盃。旅先のエピソードを語り合い、お酒がすすむ。そこそこで最後に乾杯。あとは妻の手料理でゆっくり食事ということになる。
渡辺氏選評昔は妻の料理の味付けが気に入らなかった。塩分控えめ、少し薄めの優しい味が物足りなくて、「味がない」「まずい」と文句ばかり言っていた。いつの間にかその味にも馴れて、今や妻の味が一番。今夜も夫婦円満、お二人の好みのおつまみと一緒にご夫婦でおいしいお酒をどうぞ。
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伍魚福賞
仕送りに 酒と伍魚福 入れる母
中山清(熊本県 男性 44)作者コメントこの度は自分の作品を選んでいただきありがとうございます。自分自身は生まれてからずっと故郷を離れたことが無いので、仕送りを貰ったことがありません。そのため、仕送りというものに対して秘かに憧れがありましたが、もらったら何が嬉しいかなと考えたときにこの句が浮かびました。句では母が送ったとしていますが、きっと父のほうもあれこれ口出しして、結局二人で選び、照れた父は母に送らせて自分は関係ないふり。そんな自分がもしよそで暮らしてたら、あったかもしれない仕送りを想像しつつも、今夜は両親と祝杯をあげたいと思います。
山中勧伍魚福社長選評遠くに住んでいる息子さんを思い、お酒とおつまみを送るお母さん。下宿に友達が集まり、賑やかな「宅飲み」になりそうです。社会人になると、お酒を外で飲む機会も増えますので、「下宿飲み」で練習しておくのも良さそうです。その分お父さんへの割り当てが減らないことを祈ります(笑)。
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灘五郷賞
妻の留守 温めの燗で 聴く艶歌
香西富士夫(北海道 男性 79)作者コメント演歌嫌いの妻の外出。好きな北原ミレイの「石狩挽歌」を聴きながらの独酌はこの世の至福である。時は秋。厳しい北海道の雪が来る前の愁いに満ちた一刻に、酒と歌は胃の腑を抉る。冬は熱燗・夏は冷・春と秋は温めの燗が好い。余情たっぷりの酒はやはり秋だ。このほど私の駄句に賞を授けて下さったこと、望外の悦びです。あとは賞品が楽しみ。
渡辺氏選評仕事から帰ると、台所に妻のメモ。「今夜は友達と女子会で遅くなります。おでん作ったからレンジで温めて食べてね」…やれやれ、今夜は一人か。テレビを点けると懐メロ番組。そうだな、懐かしい歌でも聞きながら温めの燗で一人飲むのも悪くない。しみじみと昭和の味がする句です。
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佳作
婿が来て 手持ち無沙汰を 酒が埋め
よしぼう(東京都 男性 76) -
佳作
家計簿も 笑顔家飲み 週二日
江口信子(葉千葉 女性 88) -
佳作
お酌する 娘にふっと 身構える
たかさま(兵庫県 男性 61) -
佳作
尋問のように 座って 妻の酌
かきくけ子(岐阜県 男性 66) -
佳作
親がいて 子がいて 晩酌の至福
高東八千代(広島県 女性 72) -
入選
監督の 代打異議あり 独り酒
長井俊昭(兵庫県 男性 75) -
入選
ゴミ出しで グレード違う 瓶がある
鈴田浩二(神奈川県 男性 74) -
入選
証人は 昼から酔って 記憶にない
三円才円(福岡県 男性 64) -
入選
持ち寄りの つまみドキドキ 品評会
日輪草(埼玉県 女性 53) -
入選
子を寝かせ 主人と一杯 家デート
あゆみん(大阪府 女性 33) -
入選
下戸の家 高級銘酒も 料理酒
ゆみこ(大阪府 女性 66) -
入選
伍魚福の ツマミになれた イカ名誉
みぎわはな(兵庫県 女性 -) -
入選
旧友と 酌む燗酒や 雪の午后
鳥井宏悦(兵庫県 男性 75) -
入選
家飲みや 片づけなけりゃ パーフェクト
たみえ(長野県 女性 58) -
入選
飲んでいる テーブル拭かれ 皿消える
太田恭子(愛知県 女性 62) -
入選
妻よたまには「お酌しましょう」言いなさい
松本壽賀子(広島県 女性 75) -
入選
鮭とばと 酒を手にして 叫ぶ父
清水陽子(北海道 女性 37) -
入選
残したら リメイクされて 突き出しに
しげき(大阪府 男性 76) -
入選
冷や酒も そろそろぬる燗 虫の声
清詞薫(三重県 男性 65) -
入選
元上司 妻にお酌の 癖抜けぬ
蛯原裕介(茨城県 男性 35) -
入選
笑うのも 泣くのも幸せ 気付く酒
田中彩乃(岩手県 女性 22) -
入選
里帰り 未だプリンの 容器飲み
くずれ荘の管理人(大阪府 男性 50) -
入選
違うだろ~ 妻が潰れて 酔い冷める
こうちゃん(北海道 男性 56) -
入選
妻潰れ 介抱したのに このハゲ〜
マッサン(北海道 女性 47) -
入選
一線を 超えておかわり 三杯目
佐藤千恵子(愛知県 女性 63) -
入選
隠してた つまみの場所を ばらす犬
さごじょう(愛知県 男性 34) -
入選
猛暑には 冷えたお酒と 冷めた妻
嶋田眞(奈良県 男性 70) -
入選
酔った妻 直虎よりも 大虎に
K・U(福島県 男性 59) -
入選
家で飲む なにはなくとも 笑顔あり
たこばぁばぁ(香川県 女性 67) -
入選
孫台風 去って虫の音 夫婦酒
津倉てつや(兵庫県 男性 73) -
入選
入らぬか 金氏世界の 酒の輪に
紫苑(千葉県 男性 72) -
入選
熱燗に 溶かし飲み込む 妻の愚痴
水埜信行(神奈川県 男性 77) -
入選
うちの父 魚嫌いの 肴好き
ペースかめ(大阪府 男性 33) -
入選
家のみに 影を落とした 酒税法
ぷーちゃん(大阪府 女性 41) -
入選
甲子園 ビールにイカ天 両手持ち
ミュウミュウ(東京都 女性 33) -
入選
ごみ袋 サンタのように あき缶だ
だんだん(東京都 男性 47) -
入選
家計簿に 別途設ける 伍魚福費
ゆらゆらら(兵庫県 女性 40) -
入選
晩酌の 量をしつこく 医者に聞く
ミントちゃん(広島県 男性 70) -
入選
待っててね 一緒に飲める日 あと少し
あき(宮城県 女性 19) -
入選
塩辛の 買い置きをして 妻家出
三郎(千葉県 男性 67) -
入選
忖度の いらぬ我が家で 手酌酒
うしボン(愛知県 男性 55) -
入選
三本目 阻止する女 三世代
ルーク(東京都 女性 55) -
入選
替えて飲む 防災袋の カップ酒
ナンサン(神奈川県 男性 76) -
入選
伍魚福と 家族三代 皆笑顔
井上登美(兵庫県 女性 77) -
入選
あと一本 言う前に妻 めしを出し
笑爺(神奈川県 男性 71) -
入選
夏が過ぎ 家で楽しむ ひやおろし
福元雅(鹿児島県 男性 65) -
入選
杯重ね 珍味うんちく 花が咲く
藤井尹雄(兵庫県 男性 73) -
入選
ニコニコと 夫の酌の 下心
菊地真千子(兵庫県 女性 59) -
入選
避難用 リュックつまみと カップ酒
ハルル(東京都 女性 64) -
入選
酌をする 孫に枝豆 みな食われ
ムク坊(神奈川県 男性 79) -
入選
老い二人 おかわりなしの コップ酒
湊利隆(兵庫県 男性 75) -
入選
アナログの 爺も肴は ネット買い
マッチ坊(東京都 男性 72) -
入選
数値より 認知の劣化 自覚ゼロ
ボヘミアンtaiちゃん(大阪府 男性 75) -
入選
新婚の 嫁のつまみも 三か月
江連敏子(栃木県 女性 52) -
入選
相槌の 間を取りつつの 酒の味
伊藤美千代(秋田県 女性 71) -
入選
コップ酒 あなた愚痴って いいですか
青木敏子(京都府 女性 73) -
入選
ノンアルの 孫がマネする 酔ったふり
米満けい(福岡県 男性 65) -
入選
終活を 終えて傘寿の 手酌酒
河原公輔(福岡県 男性 83) -
入選
ミシュランが 見落とした場所 ここに在り
お酢(福島県 男性 54) -
入選
還暦も 古希の祝いも 妻の酌
澄海(愛知県 男性 49) -
入選
我が夫婦 忖度し合い 注ぐお酒
竹内照美(広島県 女性 61) -
入選
いいね!した 写真のおつまみ 目の前に
だいちゃんZ!(大阪府 男性 42) -
入選
家飲みで ままごとデビューした 娘
ばいなりい(愛知県 男性 58) -
入選
子の作文 毎晩飲酒と 書かれてる
角森玲子(島根県 女性 49) -
入選
家飲みで 妻と語らう 五十年
風流男(福岡県 男性 64)
第6回 伍魚福家飲み川柳選者 渡辺美輪氏(川柳専門誌「現代川柳」編集長)総評
今年は全国四十七都道府県から3749句の投句が寄せられました。皆様、たくさんのご投稿ありがとうございます。ビール、日本酒、ワイン、焼酎、カクテルにジュース。沢山飲んでも家計に優しいのが家飲み。何となく手持ち無沙汰なお婿さんに、何やら魂胆のありそうな娘さんのお酌。何より怖いのが、「尋問のように」注いでくる妻。どの句からも、光景が鮮やかに浮かんできますね。ともあれ、家族の笑顔に囲まれていただくお酒はやっぱり最高です。今夜も伍魚福のおつまみで、おいしいお酒を召し上がれ。