第8回

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最優秀賞
晩酌がボクの院外処方箋
阿部文彦 様(神奈川県 男性 79)作者コメント酒が大好きで、若い頃は外で飲み歩いていました。しかし、六十歳をすぎてから大病したり、酔って怪我をしたりで妻に叱られてから、家飲みに変わりました。市街に住む子供たちや、親戚たち、家族、親族と家で飲み食いする幸せを感じております。
渡辺氏選評酒は百薬の長、といいますが、「院外処方箋」とはよく言ったものです。おいしいお酒は一日の疲れを癒す妙薬。おいしい伍魚福のおつまみと一緒にいただければ、さらに効果抜群ですね。ただし、くれぐれも飲みすぎにはご注意を。
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優秀賞
呑兵衛の 血を確かめる 里帰り
極楽とんぼ 様(青森県 男性 62)作者コメント亡くなった父はそれほど酒が強いわけでもないのに、とにかく呑むのが大好きな人でした。銚子が二本、三本と並ぶ頃にはかなりいい機嫌になり、「もう一本、もう一本だけ」が口癖でした。父が亡くなり、自分でもいくらかいける口になって里帰りしたとき、もう十分に呑んだのに、「もう一本だけ頂戴」と母親に言っている自分に気がつき、なるほど自分は親父の子だなあと実感した次第です。
渡辺氏選評吞兵衛の子はやはり吞兵衛。祖父も父も兄弟姉妹も、叔父もいとこも子も孫も、みんな大酒飲みばかり。久しぶりの里帰り、手土産は伍魚福のおつまみにしましょう。一族郎党みんな揃って楽しい宴会が始まります。
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優秀賞
二歳児に 監視されてる 休肝日
さごじょう(愛知県 男性 36)作者コメント二歳児というとまだ言葉も単語を続けて話せるかどうかと言った状態かと思いますが、とはいえ、もうすでに親のことをしっかりと観察し、理解しているようにも思える、そんな時期ではないでしょうか。そんな二歳児を前に、休肝日を見張られている親のドキドキしている心情を句にしました。こっそり飲んだら、ダメ!と言われてしまいそうな情景を感じていただけたらと思います。
渡辺氏休肝日は一日がなんだか長い。ああ、ビールが飲みたい。焼酎でもハイボールでも。ほんのちょっと、ちょっとだけなら……。「パパ!おちゃけはダメ!」かわいい監視の目にはかないませんね。休肝日明けの一杯は、きっといつも以上においしく感じますよ。
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灘五郷賞
退院に妻が選んだ生一本
ともさん(兵庫県 男性 79)作者コメント入院したのは数年前のことである。雪道に足を取られて転び、手首を折った。友人たちと呑んで千鳥足だった。二カ月少々で退院。帰宅すると、食卓の上にお酒がのっており、妻は一足先に戻って手料理づくりの最中だった。「お風呂沸いているよ」というので、入って着がえる。神戸っ子の私にとって最高の地酒は灘のお酒。いつも、あまり銘柄を気にせず頂く。それを知っている妻が買って退院祝に置いてくれた灘の生一本。忘れられない味である。
渡辺氏選評「あんまり飲んじゃ駄目よ」と言いながら、妻が注いでくれた灘の生一本。酒には詳しくないのに、退院祝いにと選んでくれた妻の気持ちが嬉しくて。ほんの一口が、体中にしみわたる。たっぷり飲めるようになる日まで、少しずついただこう。
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伍魚福賞
誉められた お洒落なピック 刺しただけ
みきんこ(京都府 女性 39)作者コメントおつまみに洒落たピックを刺して出す…この効果は凄かった!。まるで私がものすごいことをしたかのように、「わぁ~オシャレ!」「いつもと違うね!」という言葉を頂けたのだ。かかった時間はたった数秒。爪楊枝をお洒落なピックに変えただけで、こんなにも絶賛されるとは、私だけでなく、おつまみ自身も照れているに違いない。お酒もつまみも大大好き!。今宵もおうちバー開店しまーす!
山中勧伍魚福社長選評いつもと同じ「家飲み」のおつまみも、お皿やピック、付け合わせを工夫して盛り付けると、豊かな気持ちになれますね。良い写真が撮れたら「#伍魚福」をつけてInstagramやTwitterにアップしてください。もれなく「いいね」させていただきます!
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佳作
兄弟が酒持ち寄りて寡婦の母
横井司(兵庫県 男性 67) -
佳作
孫の酌子の酌妻の酌で酔い
関口満(栃木県 男性 86) -
佳作
妻からの手紙のような発泡酒
見澤有美(埼玉県 女性 68) -
佳作
年金の紐を緩める孫の酌
落穂(神奈川県 男性 85) -
佳作
仲直り 燗一本が 付いてくる
門前喜康(兵庫県 男性 67) -
入選
呑みだせば 犬が静かに 距離を置き
渋谷史恵(宮城県 女性 52) -
入選
歯ごたえのないあてばかり作る嫁
川端日出夫(大阪府 男性 58) -
入選
マイルーム 赤ちょうちんを 下げてみた
鈴木直樹(福島県 男性 69) -
入選
飲み会に惹かれて受けた町の役
梶田美保(埼玉県 女性 64) -
入選
口ひげに地ビールの泡午後三時
住妙子(兵庫県 女性 70) -
入選
二千万 晩酌の許可 再稟議
ゆうでん(広島県 男性 75) -
入選
妻と飲む二本目までは聞き上手
たむらみはる(茨城県 女性 73) -
入選
さぁ飲もう 探したツマミが袋だけ
大津家(兵庫県 女性 57) -
入選
子に父が 憑依している 手酌酒
梶浦公靖(東京都 男性 72) -
入選
うまそうな肴な、なんとペット用
坪田勝彦(兵庫県 男性 74) -
入選
酒飲んで 歌えば隣 雨戸閉め
酒酔人(東京都 男性 89) -
入選
お帰り!と 迎える家族 顔赤い
和田裕次(大阪府 男性 64) -
入選
万物の長が百薬の長に負け
兼岩幸男(三重県 男性 61) -
入選
初孫の 寝息つまみに ひとり酒
星形ニンジン(栃木県 男性 49) -
入選
家ワイン インスタ映えの はいチーズ
クリームチーズ(兵庫県 男性 43) -
入選
予約済み 末期の水も 吟醸酒
K.U(福島県 男性 61) -
入選
パパビール 子はタピオカで 乾杯し
ルーク(東京都 女性 57) -
入選
独酌も酔うに酔えない妻の愚痴
藤田一之(兵庫県 男性 75) -
入選
疑わぬ 孫を相手に 武勇伝
中村利之(大阪府 男性 75) -
入選
徳利も倒れて笑う武勇伝
山田和子(京都府 女性 74) -
入選
くノ一になりきり捨てる瓶と缶
ゆいいね(愛知県 女性 30) -
入選
早よ帰ろ 今日は伍魚福 届く筈
やじろべー(千葉県 男性 54) -
入選
子や孫が囲み爺ちゃん酔い潰れ
門田宣子(富山県 女性 77) -
入選
妻の留守 昼から弾む吟醸酒
中川めぐむ(熊本県 女性 65) -
入選
花びらのように愉快な千鳥足
上原稔(東京都 男性 76) -
入選
熱燗がゆっくり棘を抜いていく
琵琶女(滋賀県 女性 66) -
入選
ありがとうを口には出さず妻に酌
円山忘去(兵庫県 男性 78) -
入選
焼き鳥の串を並べて政治論
琵琶ちゃん(滋賀県 男性 72) -
入選
これからというところで出る番茶
須藤茂夫(東京都 男性 70) -
入選
非常用 あたりめがすぐ 入れ替わる
みらいむ(東京都 女性 59) -
入選
猪口のぞき盗みにきたか名月や
永岩靖之(広島県 男性 40) -
入選
気が付けば知らない人が飲みに来ている
中道美佐子(兵庫県 女性 70) -
入選
酒じゃない 酔った自分が 好きなんだ
桐山榮壽(東京都 男性 62) -
入選
家飲みの 摘まみを狙う 孫とんび
横手敏夫(埼玉県 男性 65) -
入選
手料理に先送りする休肝日
松下弘美(埼玉県 男性 57) -
入選
孫たちが ママごとしとる ワシの酒器
和田裕次(大阪府 男性 64) -
入選
まずくとも 妻をけなせば 身の危険
塩谷力春(埼玉県 男性 65) -
入選
お爺ちゃん 返納してと 孫の酌
笑爺(神奈川県 男性 73) -
入選
百薬の長に保険がなぜ効かぬ
石川憲政(兵庫県 男性 77) -
入選
風呂上がり 「プシュッ」で溢れる 泡と笑み
馬目英幸(福島県 男性 48) -
入選
家飲みの 恐怖は妻の からみ酒
すぱいす(東京都 男性 51) -
入選
チャックつき 必要はなし 食べきった
ぐずぐずむし(埼玉県 女性 61) -
入選
結婚の 決め手は笑いと つまみのセンス
宮澤由季(埼玉県 女性 33) -
入選
三世代 同じ手付きで 持つグラス
しなやかーる(滋賀県 男性 67) -
入選
幸せは酒と女房と伍魚福と
中城公彦(兵庫県 男性 75) -
入選
まぁ飲めと親分肌の妻が言う
安田 蝸牛(千葉県 男性 62) -
入選
「家で飲む?」 ワンとは言わぬが 駆けてくる
青い海(青森県 女性 52) -
入選
プルトップ 覚えた孫が 開けまくり
九(いちじく)(愛知県 女性 58) -
入選
独酌の 月見へ妻の 仲間入り
なるほどマン(富山県 男性 66) -
入選
子の上京 おつかれさんと 妻に注ぐ
おおもり(栃木県 男性 46) -
入選
ピーナツで ラグビー戦術 語る父
だいちゃんZ!(大阪府 男性 44) -
入選
半分は飲む気で友は下げて来る
山口秀雄(栃木県 男性 80) -
入選
黒歴史 酔いに任せて バラし合い
伊藤誠(岐阜県 男性 63) -
入選
伍魚福の パンフが家飲み メニュー表
清詞薫(三重県 男性 66) -
入選
晩酌で 国に貢献 する血筋
三郎(千葉県 男性 69) -
入選
ゴーン氏も 保釈の間 家飲みか
中山清(熊本県 男性 46) -
入選
家族より パパの帰りを 待つお酒
真珠のばあば(千葉県 女性 47) -
入選
妻を誉め つまみのランクを ひとつあげ
伊藤栄一(千葉県 男性 33) -
入選
ホステスは 闇営業の 妻の酌
札場靖人(東京都 男性 65) -
入選
地ビールと 地酒で弾み 国訛り
安藤知明(大阪府 男性 77)
第8回 伍魚福家飲み川柳選者 渡辺美輪氏(川柳専門誌「現代川柳」編集長)総評
家飲み川柳も今年で八回目。今回は過去最高、5403句もの投句が集まりました。皆様ありがとうございます。ご夫婦で、ご家族で、兄弟と、仲間と、息子と、娘と、お孫さんと。みんなでいただく楽しいお酒のお供はやっぱり伍魚福のおつまみですね。楽しいおしゃべりとおいしいお酒の飲める幸せをかみしめながら、今夜もグラスを傾けます。